事業の成長と衰退の分かれ目
先日、ある方から「苦境に陥るとハゲタカがワラワラとやってくる。どの意見を聞けば良いか判断が難しい。」という話を聞きました。
苦境に陥ると、順調の時には気が付かない問題が次から次へと表面化してきます。
それに加えて、資金繰りのための奔走、従業員へのアプローチ、普段使うことのない弁護士などへの問合せ、その他様々な未知の問題にも対応しなければなりません。
こういったことに対応するため、様々な人に問題点の対策方法を聞くため、アドバイスの量も増え、結果、どの意見を聞き入れればよいかが分からなくなります。
事業の運営は、早め早めに手を打つが基本です。
私がこれまで見聞きしたことから、ある分かれ目を超えてしまうと、人が離反したり・資金調達が難しくなったりすると感じます。
「そろそろ手を打たないと…」と思った段階では、既に回復が難しい状態になっていることが、ほとんどです。
回復が難しい分かれ目を過ぎると、企業再生の専門家に頼るとともに、経営者自らが大きく変わり、多大な自助努力をする必要があります。
そして、従業員、仕入れ先、得意先、金融機関、すべての手を借りないと太刀打ちできないことがほとんどです。
こういった分かれ道に達する前には予兆がある場合も、多いと感じます。
例えば、以下のような予兆があると思います。
- 道徳、倫理と照らし合わせて、人間として正しい考えに基づいていない行動をしていないか?、しようとしていないか?、自己チェックする
- 事業計画をつくり、定期的に管理を行い、計画とのズレを知る
- 従業員、幹部との定期的なミーティングを開き、情報収集を怠らない
- クレームの発生件数を記録し、グラフ化する
- 大きな投資をする前に、1人の意見を鵜呑みにせず複数の人から意見を聞く。事前調査をする。
- 普段から信頼できる人を探して、時々意見を聞く体制を作る(定期的な飲み会、定期的なゴルフや釣り、定期的な経営者交流会への出席、顧問コンサルなど)
こういったことにより、「おかしいぞ!!!」と感じ取れる能力を高めておく必要があります。
その上で、「日々の仕事で精一杯」という逃げどころを作らないで、「会社の未来のため」という視点で行動する必要があります。
難しい所はあると思いますが、こういった努力が、会社を永続させるためには必要ではないでしょうか?
(中小企業診断士 布能弘一)