小規模事業者持続化補助金セミナーの開催報告(3/12、3/16)
2018年3月12日および16日に、柏の葉キャンパス駅そばにあるコワーキングスペースKOILにて、小規模事業者持続化補助金のセミナーを行いました。
小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)とは
■持続化補助金の目的(概要)
人口減少や高齢化など地域需要の変化に応じ、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓や業務効率化の取り組みに要する経費を補助する
■補助金の概要
小規模事業者が対象で、経営計画に基づいて実施する販路開拓や業務効率化、生産性向上の取り組み(補助事業)に対し、50万円を上限に補助金が交付されます。
※この補助金の補助率は2/3のため、補助事業を実施する際に75万円の経費が発生したら50万円まで補助金が交付される、というものです。
■期間
公募期間:3/9(金)~5/18(金) [当日消印有効]
実施期間:採択後(7月頃)~12/31(月)
■公募要領や申請書(様式)のダウンロード先
全国商工会連合会
日本商工会議所
■申請先
個人事業主の場合、自宅住所にある商工会議所もしくは商工会
会社の場合、会社所在地にある商工会議所もしくは商工会
■前回と比べた、今回の持続化補助金の大きな変更点
加点項目に、経営力向上計画と先端設備等導入計画が加わった。
補助金額が100万円にUPするのは、買い物弱者対策、賃金引上げ、海外展開の3つとなった。
セミナーの構成とゴール
大まかな概要は以下の通りでした。
1時間のセミナーだったため、結構盛りだくさんですね。
■構成
- 補助金の概要
- 小規模事業者持続化補助金の概要
- 計画作成のポイント
- 当事務所からのご提案
■ゴール
- 持続化補助金の概要を理解する
- 計画書作成のポイントを理解する
なお、当初からのご提案については、別ページで紹介しています。
ご興味のある方は、ぜひご確認ください。
セミナー内容の概略
本セミナーの参加者の多くは経営者ですが、それぞれが異なる業種を営んでおり、かつ補助金の存在を知らない人から何度も持続化補助金に挑戦している人までと、比較的幅広い方が参加されました。
このため初心者向けの解説として、補助金自体の概要から入りました。
補助金の3つの特性
普段の生活や事業では補助金を扱うことは、そう多くはありません。
このため「補助金って返済義務のないお金をもらえるんだよね~」といった知識しか持ち合わせない経営者が多いと思います。
しかし、補助金を出す側(国や公的機関など)からすると色々な制約条件があります。
それは3つです。
- 補助金には目的がある
例えば持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓と生産性向上などです。 - 実現性の高い企業を選別することが多い
補助金の予算は限界があるため、経営計画書などの審査を通じ、実現性の高い企業にのみ採択されます - 経費は先払い
支払元からみると補助金を目的以外に使われては困ります。このため計画書に基づき事業が行われた場合にのみ、領収書などを確認して補助金が支払われることになっています。
補助金のデメリット
多くの補助金セミナーでは、補助金のメリットや、申請方法、作成ポイントなどの話が中心になっています。
なぜならば、セミナー参加者の視点では、①補助金の概要や、②どうすれば補助金がもらえるの方法が知りたい、となりやすいからです。
また、セミナー主催者の視線では、①参加者が補助金を申請し採択されて欲しい、②隠れた主催者側のメリットを享受したい、ということもあります。
これについては否定するつもりはありません。
メリットがなければ、時間をかけてセミナーを主催したり、業務の合間に時間をみつけて参加したりする必要もありません。
しかし、補助金を申請し受領することにはデメリットもあります。
このことを話さずに、「落ちているカネを拾え」みたいなことを話すセミナーや、ホームページは山のようにあります。
ただ私としては、アンフェアだと感じているため、あえて時間を割いてデメリットも話すことにしています。
※とはいえセミナーの時間は有限なので、時間の関係上、このことをカットしている講師もいます。
少し話はそれましたが、補助金のデメリットは大きくは2つです。
- 普段の業務以外に計画書作成や実行管理などが発生し、思った以上に時間がかかる
- 計画的な資金運用としての利用が難しい
このデメリットと、返済義務のない経費が欲しい、という2つを天秤にかけても、なお補助金をとりたいというのであれば、補助金を申請するべきでしょう。
一方で、デメリットが多いと感じる方は、あきらめて別の手段を探すか、デメリットの少なくなる方法(専門家に計画作成を依頼する)などを検討するべきでしょう。
計画書作成のポイント
持続化補助金に限らず、経営計画・事業計画を審査する補助金の場合、共通の対策があります。
それは以下の3つです。
- 公募要領をじっくり読み、提出物も記述内容も漏れがないこと
- 補助金を交付する側の目的に沿って計画書を作成すること
- 審査員を意識すること
1.公募要領をじっくり読み、提出物も記述内容も漏れがないこと
これは当たり前に感じるかもしれません。
ところが、実際に不採択になる人の多くは、漏れがあるからです。
こんなところで落ちてしまうのは、費用対効果がよくありません。
申請前には、公募要領をよく見直しましょう。
2.補助金を交付する側の目的に沿って計画書を作成すること
これも当たり前に感じるかもしれません。
しかし、計画書の作成自体に慣れていない人は、どうしても自社のことに注目しがちになります。
その結果、補助金の目的を忘れがちです。
こうなってしまうと相手側の目的に沿っていない以上、採択される可能性は高くありません。
交付する側も交付される側も win – winとなるためには、自社の目的と主催者側の目的が一致する計画書を作成する必要があります。
3.審査員を意識すること
この情報がないまま計画書を作成した人が、審査員を意識することは非常に稀だと思います。
書類がキッチリと揃っていれば、あとは審査員のさじ加減で採択・不採択が決まります。
どのセミナーでも話すと思いますが、最も重要なのは「分かりやすく書く」です。
しかし、なぜ分かりやすく書くことが最重要なのでしょうか?
実のところ日本商工会議所の公開情報を見れば、どういった人が審査員であり、どのくらいの期間で審査をするか、ザックリと書かれています。
ザックリとした情報とはいえ審査員の状況を深堀していくと「こういった計画の書き方をすれば、審査員は採点を厳しくする」といったことが浮かび上がります。
本セミナーでは、その理由と対策についてお話をさせていただきました。
また、審査員の状況を深堀していくと、自分の計画書が審査される時に運の要素を排除できないこともわかります。
「良い申請書が不採択となる」「悪い申請書が採択される」ということもよく聞きます。
この辺りの理由についても、セミナーでお話させていただきました。
他にも持続化補助金にまつわる固有のお話もさせていただきました。
たとえば公募要領のサンプルは、文章としては素晴らしいもののサンプル通りでは採択されにくいということがあります。
ノウハウの部分もあるので、内容を端折ったりしていますが、もしセミナーを聞きたいというニーズがあれば、集客さえ手伝って頂ければ別の会場でも開催します。
是非お問い合わせください。
最後に本セミナーを受けた方が皆様が採択されますように…。
(中小企業診断士 布能弘一)