安楽椅子コンサルティングはしたくない

「安楽椅子探偵」とは、部屋から出ることなく、あるいは現場に赴くことなく事件を推理する探偵、あるいはそのような趣旨の作品を指す
wikipadia – 安楽椅子探偵

ふと思いついた造語だが、「安楽椅子コンサルティング」。つまり、お客さんの現場に赴くことなくコンサルティングを行うことだ。

お客さんの現場に行かずに、経営コンサルティングを行うこと話は時々聞く話だ。
例えば、自分一人では処理できないぐらい多くの補助金案件を取ってくる営業が、別のコンサルタントに仕事を委託するときだ。
こういったコンサルタントは、パンフフレットやホームページだけ見て、補助金の申請書を書いている。
補助金の申請は、ある程度、お作法があるため、それでも通るときは通る。

個人的にだが、支援者が直接足を運ぶ窓口相談や、勉強のためのワークショップなどは別として、支援先に店舗や事務所があるのに一度も現場に足を運ばないコンサルティングはしたくない、と考えている。
最近は、ZOOMやWherebyなどの動画チャットを使うこともあるが、1度は担当者に直に会う、現場に行く、などをさせてもらっている。
移動時間がもったいないじゃないか!、行く意味があるのか?、事務所が汚いから来てほしくないなど言われることもある。
だが、直接現場に行ってこそ得られるイメージや、支援先からの信頼もあると感じている。

安楽椅子探偵が嫌いなのは、シャーロックホームズの影響もある。
基本的にシャーロックホームズは好きな物語ではあるが、安楽椅子探偵となったときのシャーロックホームズは嫌いだ。
当時は合法だったらしいがコカインやモルヒネを使う薬物依存もあるシャーロックホームズが、安楽椅子の上で推理し、その推理の正しさを訴えるためにワトソン博士をこき下ろしているシーンは嫌なイメージしかない。

翻って、自分自身のプログラマの初期の頃、現場でお客さんと話をせず、現場を見ることもなくシステムを作っていたことを思い出す。
大規模開発では、現場にもいかず、お客さんと話さずに、詳細設計書を書いたり、コーディングすることも多くある。
その方が全体効率が高いとわかっていても、お客さんと話をせずにいるため、自分が作るものがイメージできないのである。

現場百篇とまではいかないが、現場にこそ問題や解決策が隠れていると感じるのは古臭い考え方なのだろうか?

(中小企業診断士 布能弘一)

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