事業承継診断表により今後の方向性を考える
先日の記事「事業承継において一番大切なことは、事業承継の必要性に気づくこと」で、事業承継に気づくことが必要だと書きました。
では、最初のステップにはどういったツールがあるのでしょうか?
例えば、下図のような中小企業庁からダウンロードできる「事業承継診断表(相対用)」があります。
現在、様々な公的機関や金融機関に、この診断表が配られているという話を複数人の知り合いから聞きました。
気づいてもらう必要という点では、これぐらいシンプルでも良いと思っています。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/2017/170414izoku28.pdf |
ここから、①後継者がいる、②後継者が未定、③事業の売却、④廃業の選択肢があぶりだされます。
事業承継の話をする上では、①後継者がいる、③売却すると決めている場合は、次の対策に進めやすいのですが、②後継者未定は非常に厄介です。何もしなければ、意図せぬ廃業となり、取引先への迷惑、従業員の突然の解雇に繋がりかねません。
後継者候補者がいるのであれば、「打診してもらい」、「承認してもらう必要があります」。
八方手を尽くしても候補者が見つからなかった場合には、「公的機関などを通じて後継者候補を探してもらう(後継者バンク)」などの施策をとる必要があります。
また、候補者が見つからいことを前提に「売却か廃業の選択」が必要になります。
事前準備をした廃業であれば、取引先や従業員に迷惑をかける可能性が減りますし、場合によっては準備中に買い取り先が見つかるかもしれません。
④の廃業については、一度、③事業の売却も考えて欲しいとは思います。
ここ数年、事業の売却の件数は飛躍的に上がってきているといわれます。
特に事業引継ぎ支援センターができたことで、これまで空白地帯だった中小企業の事業売却(M&A)の担い手ができたことが大きな要因だと思います。
何はともあれ、まずは気付きが大切で、そのうえで、ある程度方向性を大切です。
(中小企業診断士 布能弘一)