事業承継計画とは、事業計画と承継計画と後継者育成計画のセットである

事業承継を調べると「事業承継計画」という言葉が出てきます。
最初、私は「事業承継計画」という言葉を聞き、「事業承継計画とは、何だろうか」ということに悩みました。

事業承継をするのであれば、先代経営者と後継者の間には以下のようなやり取りがあると思います。

  • いつ、何株、後継者に自己株式を渡すのか
  • 株式を渡す方法は、後継者への売却?、譲渡?、遺言書による相続?
  • いつ代表取締役へ就任するの?
  • 定款はいつ変更する?
  • 借入金の個人保証の引継ぎは?
  • 社内外の関係者には、いつ後継者として公表する?
  • 個人資産の事業利用はない?ある場合には、相続対策をしている?

などなどです。
私は当初、上記のような後継者が経営権を継ぎ、更にステークフォルダーへの公表など、承継に関わる直接的なことだけを「事業承継計画」だと捉えました。

あるとき、これは「承継計画」であり、”事業”の承継では物足りないと気が付きました。
”事業”を引き継ぐのであれば、他にも以下のものを承継したり、教育したり、などする必要があります。

  • 経営理念の承継
  • 引継いだ後の会社の方向性(1年先、3~5年先、10~20年先、50~100年先、…)のすり合わせ
  • 自社を取り巻く外部環境の分析と、今後の外部環境の方向性の予想の共有
  • 経営知識の習得
  • 業界知識の習得
  • 主要商品サービスの製法やノウハウの習得
  • 企業全体の業務知識(製造、開発、経理、財務、人事、組織、営業、店舗管理、etc.)の経験
  • 社内ルール、仕組みの整備と承継
  • 社内情報の整備と承継
  • 役員、従業員からの信頼や支持
  • 社長の持つ人脈(顧客、販売先、仕入先、協力会社、協力者)の承継
  • etc.

こういったことを含めて、初めて”事業”の”承継”です。
これらは事業計画だったり、後継者の教育計画だったりの範疇です。

 

私なりの定義ですが、事業承継計画とは「事業計画」「(株式など資産・財産の)承継計画」「後継者の育成計画」の3本柱になると考えています。
※別の言い方をすれば「人、資産、知的資産の3つの承継」とも言えますし、どちらかといえば、こちらの方が中小企業庁などの公表している内容と整合性が取れるかもしれません。

私の定義が合っている、間違っている、ということを討論したいわけではありません。
たとえば、M&Aであれば「後継者の教育計画」は不要となる一方で「買収計画」が必要になるかもしれませんよね。

ただ、自分なりに「事業承継計画」を整理したかったということが、今回の記事の趣旨となります。

(ふのう中小企業診断士事務所 布能弘一)

 

 

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