事業の根幹は「商品サービス」「顧客」「顧客の得る価値」

最近の持論ですが、事業の根幹は集約すると3つかなと感じています。

「商品サービス」「顧客(ターゲット)」「顧客の得る価値」です。

事業に関する戦略には色々なフレームワークがあります。
有名なところでは、SWOT分析とクロスSWOT分析、アンゾフの製品・市場マトリクス、製品ライフサイクル、5フォース分析とコトラーの競争優位戦略、STPや4P/4C、VRIO分析、「誰に何をどのように」、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)などがあります。
私もこれらのフレームワークを使いわけ、支援を行っています。
とはいえ、創業支援、新事業の立ち上げ支援、事業の見直し支援などの際に、もっとシンプルかつスッキリしたフレームワークが欲しいと常々考えていました。

それで、ようやく落ち着いたのが、上記の3つです。

文章にすると「誰に、何を売って、顧客視点でどんな価値を提供する」です。

 

商品サービスとして自分のやりたいこと、やれることの考察

世の中には、「砂漠では水を売れ」「ドリルを買いたいのではなく穴が欲しい」といった話があります。
これが世にいうニーズ志向です。
この話は正しい話ですが、果たして、独立する人や新規事業を企てる人は、砂漠や穴から考えはじめるのでしょうか?
全くいないとはいいません。
社会的課題のようなニーズに対して、ただ自分ができることをやっていき、ビジネス化している人も沢山います。

しかし、何年もかけて、独立したり、新規事業を作る人には「自分の知識・経験・ノウハウをビジネス化したい」という人が多いと感じます
こういった人たちは、ニーズ志向ではなく、知識・経験・ノウハウを起点として商品サービスを考えるシーズ志向に近いと感じます。

ところで私の感覚的には、独立する人、新事業を考える人が、明確に「これだ!」という具体的な商品サービスのアイデアを持っているか人も少ないと感じます。
であれば、「自分の知識・経験・ノウハウをビジネス化したい」を満たせれば、多少、商品サービスが自分の意図と違っていても満足できるのではないでしょうか

 

顧客(ターゲット)についての考察

この顧客(ターゲット)設定って難しいのですよ。
ペルソナとか作るのはOKですが、ペルソナの作り方を習ったとしても、自分のビジネスにそれを適合させるのって、結構難しいです。
完全なニーズ志向から考える場合は別ですが、創業塾の受講生や、事業を見直す人、新事業を行う人は、皆、ここで頭を悩ませ、多くの人がターゲット設定を疎かにしてしまうと感じています。

しかし、これまでの経験上、どんな人でも、地域、年齢、男女、B2B、B2C、経営者向け、消費者向け、などニーズ以外のことは比較的キチンと設定してくれます。
中には、自分の持つネットワークで売りたいという人もいます。

どのように伝えれば良いか何年も悩んだのですが、そもそも「顧客(ターゲット)」と「ニーズ」を一緒にしているのが問題だったと気が付きました。
こういったわけで、最近は、個人的には顧客(ターゲット)は、自分が売りたい人まで落ち込めばいいと考えています。
そして「ニーズ」は、顧客の得る価値に回そうと考えを切り分けました。

顧客の得る価値の考察

わたし流ですが、ここまでの「商品サービス」「顧客(ターゲット)」を考えると、創業者や新規事業を行う人は、以下のような感じの人が多いです。

  • 商品サービスは、「自分の知識・経験・ノウハウが生かせる」ことだが、この欲求を満たせれば「絶対この商品サービスだ!」みたいなことは考えておらず、結構妥協できる。
  • 顧客(ターゲット)は、ニーズまで考えると難しいが、年齢・地域・場所・ネットワークなど、どんな人に売りたいかまで落とし込むのは難しくない。

とはいえ、最終的に自社の商品サービスを買ってもらうには「顧客がほしいもの=顧客の得たい価値」が必要です。

とはいえ、ここまで来たら自分の事業を一切考えずを徹底的に顧客(ターゲット)視点での、ひたすら顧客の得る価値を洗い出すのは容易です
この作業には、顧客マインドマップなどを使うと良いと感じます。
また、顧客価値(Customer Value)、顧客にとっての経費(Cost)、顧客利便性(Convenience)、顧客とのコミュニケーション(Communication)といった4Cのフレームワークを使うのも良いでしょう。
自分が出し尽くせないぐらいまで顧客の得たい価値を出し尽くしたら、それをもとに、決まり切れていなかった自分の知識・経験・ノウハウを使った商品サービスを具体化していきます。

 

例えば、以下のような自分の売りたい商品サービスと、売りたい顧客があったとします。

自分の売りたい知識・経験・ノウハウのある商品サービス 研修事業(であれば多少ぶれても良し)
顧客 自分のもつ○○ネットワーク


ここまで絞れているのでこの自分の持つ○○ネットワークの「顧客の得る価値」をひたすら洗い出し、研修事業で使えそうなものだけをピックアップして、研修事業を具体化
していけばよいのです。

こうすれば、創業者・経営者としても満足度が高い商品サービスであり、売りたい人である顧客(ターゲット)が明確で、顧客の得る価値もはっきりする、妥当性の高い事業アイデアができる、と感じます。
もちろん、ここがスタートであり、他にも山と考えることはあるのですが、少なくとも事業の根幹は固まります。

という訳で、最近考えている事業の根幹は3つは

「商品サービス」「顧客(ターゲット)」「顧客の得る価値」

という話でした。

(中小企業診断士事務所 布能弘一)

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